journey 少しだけ大人になった夏の旅 中学生の夏休み、当時高校生だった従姉に突然誘われ、旅に出ることになりました。 一緒に行くはずだった友達が熱を出したそうで、私は急遽ピンチヒッターを務めることに。 戸惑う間もなく翌日の晩には寝台車に乗り込み、旅立っていました。 まだ大人とは言えない年齢の従姉との夏の旅。 見知らぬ街の朝の風景、土地の人の言葉の新鮮な響き、ローカル線の電車に吹き抜ける熱...

ice cream アイスクリームと小さな背中 ある日、お店の前で、ぽとっとアイスクリームがコーンカップから落ちるのを目の当たりにしました。 みるみる溶けはじめるアイスクリームから視線を上げると、そこにはよく見知った小学生の悲しみに暮れる顔がありました。 あの時、ただ戸惑うばかりで、しょんぼり去りゆくその子の背中を見送ることしかできなかったけれど、もし、新しいアイスクリームを差し出せていたら...

harmony 生まれ変わらなくても叶った夢 多感な頃にフランスの作曲家、ガブリエル・フォーレの音楽に魅了されました。 その豊かで優しいハーモニーに、すっかり心を奪われ、「今度生まれ変わったらフォーレの音楽になりたい。」とまで思うようになりました。 そして、ある日ふと気づきました。 「生まれ変わらなくても、フォーレの音楽になることは出来るのでは！？」と。 それは、隣町の市民合唱団のチラシを偶...

green 一年の中で一番好きな季節は？ 一年のなかで一番好きな季節は？ と訊かれたら、迷わず「新緑の季節！」と答えます。 薫風を感じ、さわさわ歌う梢の囁きにうっとりしながら、漂うようにお散歩するのは、格別です。 これ以上はないと思うほどの心地よさです。 とりわけ拘束時間の長かったサラリーマン生活を送っていた頃は、夜、帰宅して窓を開け放ったときに通り抜けて行く緑の風に、心が解放されて行くのを...