【140字小説】方丈 海@書籍発売中 Profile Banner
【140字小説】方丈 海@書籍発売中 Profile
【140字小説】方丈 海@書籍発売中

@HOJO_Kai

Followers
117,082
Following
925
Media
192
Statuses
20,247

小説家です 書籍情報などのリンク集: note: FANBOX:

※amazonアソシエイトに参加しています。
Joined July 2020
Don't wanna be here? Send us removal request.
Explore trending content on Musk Viewer
Pinned Tweet
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 day
★noteとpixivFANBOX★ クリエイター支援サービスにて、100円/月プラン内に色々(※添付画像参照)と更新しています! 正直なところ、固定収入の無い作家活動において、ご支援いただけるのは経済的にも精神的にも、とても大きな励みになっております…!誠に、ありがとうございます!…
Tweet media one
0
2
30
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
息子がonlineゲーム中毒になった。叱るよりも、まず子供の目線に立つべきかと、私も始めてみる事にした。 その甲斐あって、息子のオンゲー中毒は改善された。息子曰く「自分の姿を、客観的に見れたから」らしいが、今やそんな事はどうでもいい。向こうの世界で今日も、仲間達が私を待っているのだ。
206
45K
238K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
息子がonlineゲーム中毒になった。叱るよりも、まず子供の目線に立つべきかと、私も始めてみる事にした。 その甲斐あって、息子のオンゲー中毒は改善された。息子曰く「自分の姿を、客観的に見れたから」らしいが、今やそんな事はどうでもいい。向こうの世界で今日も、仲間達が私を待っているのだ。
222
30K
229K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「お箸はおつけしますか?」 「はい」 店員はバーコードを読み取る。 「お箸はおつけしますか?」 「はい」 店員はレジ袋に商品を入れる。 「お箸はおつけしますか?」 「はい」 3度も聞いてくるなんて、相当お疲れらしい。労いの言葉をかけると、店員は嬉しそうに微笑んだ。お箸は入ってなかった。
281
22K
210K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
チャイムに出ると、警察が立っていた。 「あなたの旧友である高橋さんが、先日の同窓会の後、殺害されました」 僕は驚愕した。 「そこで、当日の様子をあなたからもお伺いしたく…」 「ちょ、ちょっと待ってください!」 「はい」 「同窓会があったんですか…?」
306
40K
188K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「思えば、お前とは随分と旅したなぁ…ピカチュウ」 「ピカ♪」 「お前と山ではぐれた時は、もう2度と会えないかと思ったよ」 「ピカ!」 「もういいよ、ピカチュウ」 「ピカ?」 「ずっと…演じてくれてたんだろう?」 「……」 「もう、いいんだ。ありがとう、メタモン」 「…………モン」
145
20K
182K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
俺は激しく後悔していた。 最後まで見たら死ぬ呪いのYoutube動画は本物だったんだ。開いた瞬間、俺は金縛りになった。指も瞼も動かせない。動画の中で、髪の長い女性が、ゆっくりとこっちに近づいてくる。もう終わりだと思った瞬間〝彼〟が現れ、金縛りは解けて助かった。ありがとう、楽天カードマン。
177
20K
132K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
9 months
バスの中で、子供が降りるボタンを押したい!と泣き喚いている。だが、まだ降車駅は先だからと、母親に却下されていた。 「坊や。俺は次で降りるから、押してくれるかな?」 「いいの!?」 輝く坊やの笑顔 いつまでも押されないボタン いつの間にかYoutube見てるガキ 通り過ぎて行く俺のバス停
115
11K
128K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
彼女の母姉父は、プロゲーマーだった。 結婚を認めてもらうために、某格ゲーで家族全員に勝つ条件が課せられた。死に物狂いで特訓した結果、なんとか、俺は母姉父に勝つ事が出来た。恋人を抱き締めようとしたら、彼女はコントローラーを手に取った。 「黙っててごめんなさい。一番強いのは、私なの」
145
18K
122K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
彼氏がウチに遊びに来た時の事だった。 「なんでトイレの便座上がってんの?」 浮気を疑う彼氏に「掃除した時に上げたままにしちゃっただけ!」って伝えると、彼は渋々納得してくれた。でも、私は罪悪感で押しつぶされそうだった。嘘をつくのにも、もう疲れた。いつ正直に伝えよう?私は男だって。
309
10K
110K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
俺は激しく後悔していた。 最後まで見たら死ぬ呪いのYoutube動画は本物だったんだ。開いた瞬間、俺は金縛りになった。指も瞼も動かせない。動画の中で、髪の長い女性が、ゆっくりとこっちに近づいてくる。もう終わりだと思った瞬間〝彼〟が現れ、金縛りは解けて助かった。ありがとう、楽天カードマン。
130
25K
106K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
講義室に50歳くらいのオッサンがいた。サボる生徒ばかりの中で、歳とっても大学に入る姿勢に、俺は尊敬の念を抱いていた。「偉いッスね」と初めて声をかけると「今更、勉強が好きになれたんだ」と彼は照れ臭そうに答えた。気合が入った俺は、初めて「優」で単位を取得した。オッサンは覗きで捕まった。
91
15K
99K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
俺は恐怖していた。 お隣のOLさんの部屋から、毎朝7時におぞましい悲鳴が聞こえてくるんだ。 尋ねると「私ホラー映画マニアで…悲鳴をアラームにしてるんです…すみません」と恥ずかしそうに言った。 「今朝の悲鳴は、『死霊のはらわた2』?」 「わかったんですか!?」 それが、妻との出会いだった。
50
13K
97K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
最近、家のwi-ifがやたら重い。もしやと思ってパスワードを変えたら軽くなった。おそらく、お隣さんがウチの電波を使って動画でも見てたんだろう。 後日また重くなった。もしやと思って問い詰めたら、お隣にパスワードを教えてるのは息子だった。wi-fi使用料として、月千円をお隣から貰ってたらしい。
150
10K
92K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
チャイムに出ると、警察が立っていた。 「あなたの旧友である高橋さんが、先日の同窓会の後、殺害されました」 僕は驚愕した。 「そこで、当日の様子をあなたからもお伺いしたく…」 「ちょ、ちょっと待ってください!」 「はい」 「同窓会があったんですか…?」
181
19K
85K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
「俺、彼女出来た」 「マジ!?」 昔ついた嘘を嘘と言えず、架空の彼女との関係は順調だと親友に数年間、報告し続けた。そして、遂に結婚する所まで来た。もはや嘘も限界だ。 「ごめん…彼女なんて実はいないんだ」 「…架空は、彼女だけか?」 「え?」 顔を上げると、親友の姿は何処にも無かった。
99
12K
81K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「ママはどうしてパパと結婚したの?」 「私がレンタル屋でバイトしてた頃、パパは常連さんだったのよ。いつも借りたビデオは最初まで巻き戻してから返してくれた。それで、あぁ そういう気遣いが出来る人と結婚したいなぁ…って思ったの」 幸せそうに語るママに私は更に聞いた。 「巻き戻しって何?」
173
9K
82K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
元SEの祖父は大層な助兵衛で、膨大なエロデータをPCに蓄えていた。 そんな祖父が亡くなった。 俺は遺品整理のついでに祖父のPCを漁った。さっそくそれっぽいファイルをクリックしてみる。次の瞬間、色んな処理が走り、全データは消え、1つのtextファイルが残された。 『宝は自分で掴め。達者でな』
141
14K
81K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「お前の代わりなんていくらでもいるんだぞ?」 「はい。ですので、今日は辞表を持ってきました」 懐から辞表を取り出すと、課長は悲しそうな顔を見せた。 「…でもな、俺にとってはお前しかいないんだ」 そう言って、課長は俺の辞表を破り捨てた。 「課長…」 俺は懐から代わりの辞表を取り出した。
141
12K
80K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
退職願を勘違いしてる新人「課長、退職して下さい」
55
8K
78K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
ルンバが壊れたので、廃棄場所に置きにいった。去り際に、涙が溢れた。仕事が出来なくなったからといって、ゴミとして捨てられるこのルンバに、自分を重ねてしまったのだ。雨の中、俺はルンバを拾い上げ、胸に抱き、人目もはばからず泣き叫んだ。ここまで説明して、ようやく警察は俺を解放してくれた。
89
11K
74K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「思えば、お前とは随分と旅したなぁ…ピカチュウ」 「ピカ♪」 「お前と山ではぐれた時は、もう2度と会えないかと思ったよ」 「ピカ!」 「もういいよ、ピカチュウ」 「ピカ?」 「ずっと…演じてくれてたんだろう?」 「……」 「もう、いいんだ。ありがとう、メタモン」 「…………モン」
57
5K
72K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
11 months
娘のSNSアカウントを見ていたら、最近、娘に彼氏が出来たとわかった。そうか、もうそんな年頃か。 「彼氏が出来たようだな」 「え!?」 「大事にしなさい。彼は良い青年だ…」 「会ったことないのに?」 「パパな、6つの女の子アカウントを持ってるんだが、そのどれで誘惑しても、乗らなかったんだ」
92
5K
63K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
バイトでレジしてると、お手本のような恋人繋ぎをしてるカップルが来た。会計の時ですら2人は手を放さない。彼氏が財布を取り出し、彼女が紙幣を抜き取ってあげる共同作業。ここはホームセンターだが、そういうのはホームに帰ってからやれ。イラつきながら商品を確認すると、接着剤を剥がす液だった。
72
8K
63K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
9 months
「おい新人。ユーザIDはユニークにしておけよ」 「ユ、ユニーク…?承知しました…」 1時間後 「おい新人!まだ終わんねぇのか!」 「先輩、これはどうでしょう?」 ユーザID: ___/|||||| 「…なに?これ」 「ユーザIDでドミノ倒しを表現してみました」 「ユニークってそういう意味じゃねぇよ」
30
3K
60K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
4 months
彼女のご両親にご挨拶に行った 「不躾ですまんが、ズバり聞かせてくれ。君の年収はいくらだね?」とお義父様 「900万です」 「ほう、優秀じゃないか」 「恐縮です。おかげで、カップ麺なんぞとは無縁の生活を送れていますよ」 「ハハハ」 「お義父様はどのようなお仕事を?」 「カップ麺を作る会社だ」
353
4K
61K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
34歳になった日の朝、男は唐突に予感する。 「あ…俺、近々死ぬかも」 男は亡くなる前に、疎遠になってた友人も含め、1人1人に会ってまわる事にした。それは、昔話に花を咲かせる事で『案外、悪くない人生だったな』と、己が人生を見つめ直す旅でもあった。その後、死は訪れた。97歳の大往生だった。
67
7K
59K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
不思議な本があった。 カバーは真っ白で、タイトルすら無かった。中身も、全ページが白紙だった。 「それは完璧な本です」 「完璧?」 「はい。あらゆる表現規制の声に忖度した、誰も傷つけない本です」 数年後、その本は発禁となった。 444というページ数が、死を連想させて不快だと言われたからだ。
124
12K
59K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
ネイルを初めて塗ったけど、最初に気付いてくれたのは彼だった。勿論、彼氏じゃない。友達のささいな変化にも、すぐに気付いてくれる。そんな彼だから、みんなから好かれているのは当然だった。だから、これは私の片想い。でもある日、私の恋は、恐怖と共に終わりを告げた。 「家の鍵、変えたんだね」
72
7K
57K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
9 months
「クーラーはどうして冷たい風が出てくるの?」 息子の無垢な質問に、妻は「氷の妖精さんが中にいるからよ」と答えた。だが、息子はもうそんな歳でもないはずだ。「実は冷媒ガスで熱交換を…」と俺は説明した。 「妖精さんいないの?」 息子は驚いた。 「妖精さんいないの!?」 妻はもっと驚いた。
102
4K
57K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
「近くで殺人事件があったらしいよ」 「マジ?」 「しかも、まだ凶器の包丁は見つかってないんだ」 「……待て、なんで見つかってないのに、凶器が包丁って知ってるんだ?」 「…頼む、犯人を見つけてくれ」 そこで目が覚めた。TVでニュースが流れた。被害者の名前に、夢に出て来た友人の名があった。
77
5K
55K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「お爺様、お婆様、ただいま戻りました」 「おぉ、桃太郎…!鬼は退治できたかい?」 「…お爺様。鬼がどのように産まれるか、ご存知ですか?」 「?」 「鬼ヶ島には、大きな大きな桃の木が1本、ございました」 「……」 「…最後の鬼を、成敗致します」 そう言って、桃太郎は己の首に、刀を添えた。
90
6K
53K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
俺の目の前で、おっちゃんがひったくりにあった。俺は急いで犯人を追いかけ鞄を取り返してやった。 後日 就活の面接に向かうと、あの時のおっちゃんがいた。志望会社の役員だった。 「君のような若者と私は働きたい」と言われ内定ゲット。その夜、俺はひったくり犯を演じてくれた友人と祝杯をあげた。
82
5K
52K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
11 months
大好きな人に告白した。 「私より背の低い人はちょっと…」 フラれた俺は骨延長手術を受けてリトライした。 「私より年収低い人はちょっと…」 出世を繰り返し、役員になった。 「太ってる人は…」 痩せた。 「顔が好みじゃなくて…」 整形した。 「私より年下はちょっと…」 僕の方が、年上になった。
256
4K
50K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
「変だな…味がしない…」 コロナを確信した俺は内心歓喜していた。これで仕事を休める。 しかし、医者の「コロナではありません」というセリフに俺は激しく落胆した。医者は続ける。「おそらく、鬱による味覚障害です。仕事は休んでください。そして、大事な人と、穏やかな時間を過ごしてください」
52
9K
50K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
7 months
私の彼氏凄い。 腕も胸板もヒョロいのに、腹筋だけはバッキバキに割れてる。「どうして腹筋だけ?」って聞いてみた。 「1年前、イイネの数だけ腹筋するってツイートしたら、3.8万も集まっちゃって…でも、もうすぐ達成するんだ♪」 私はそのツイートを見つけ、10万人のフォロワーに向けて拡散した。
83
4K
49K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
「俺も、もう歳だ。そろそろ免許返納するかな」 「あなた…」 「その前に…最後のドライブに行かないか?」 「プロポーズも、車の中でしてくれたわね」 「覚えてたのか」 「当然よ」 ドライブを終え、家に戻ると、夫はしばらく運転席を離れなかった。そして「楽しかったなぁ…」と呟き、車を降りた。
107
4K
48K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
「思えば、お前とは随分と旅したなぁ…ピカチュウ」 「ピカ♪」 「お前と山ではぐれた時は、もう2度と会えないかと思ったよ」 「ピカ!」 「もういいよ、ピカチュウ」 「ピカ?」 「ずっと…演じてくれてたんだろう?」 「……」 「もう、いいんだ。ありがとう、メタモン」 「…………モン」
40
3K
46K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
9 months
俺は激しく後悔していた。 最後まで見たら死ぬ呪いのYoutube動画は本物だったんだ。開いた瞬間、俺は金縛りにあった。指も瞼も動かせない。動画の中で、髪の長い女性が、ゆっくりとこっちに近づいてくる。もう終わりだと思った瞬間〝彼〟が現れ、金縛りは解けて助かった。ありがとう、楽天カードマン。
68
6K
46K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
「先輩」 「なんだ」 「ここの処理、10行も使ってますけど、俺なら5行で書けます」 「覚えておけ新人。プログラムは、短けりゃいいってもんじゃねぇんだ」 「じゃあこのコメント行も必要ですか?」 「どれだ」 「この、延々とお経が書いてある部分です」 「それは絶対に消すな。なぜかサーバが落ちる」
108
8K
46K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
大好きな人に告白した。 「私より背の低い人はちょっと…」 フラれた俺は骨延長手術を受けてリトライした。 「私より年収低い人はちょっと…」 出世を繰り返し、役員になった。 「太ってる人は…」 痩せた。 「顔が好みじゃなくて…」 整形した。 「私より年下はちょっと…」 僕の方が、年上になった。
226
3K
44K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
「本当にいいんですか?この物件は、幽霊が出ると評判ですが…」 「いいんです」 俺は荷物の開封を終え、部屋の中を見て回った。柱にはペンで120cmと書かれてる。身長を測った跡だ。ふと、人の気配がして振り向いたけど、誰もいなかった。 母さん? ただいま 俺、今はもう178cmもあるんだよ
66
4K
45K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
34歳になった日の朝、男は唐突に予感する。 「あ…俺、近々死ぬかも」 男は亡くなる前に、疎遠になってた友人も含め、1人1人に会ってまわる事にした。それは、昔話に花を咲かせる事で『案外、悪くない人生だったな』と、己が人生を見つめ直す旅でもあった。その後、死は訪れた。97歳の大往生だった。
41
2K
44K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「ねぇねぇ、ママはパパとどうやって出会ったの?」 「そうねぇ…あれは、私が海を眺めながら1人で泣いてた時だったの。パパが通りかかって、声をかけてくれたのよ」 「わぁ、素敵!なんて声かけてくれたの?」 「『どしたん?話聞こうか?』ってコメントくれたの」 「海ってもしかして、電子の海?」
45
4K
43K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
俺が出世したくない理由は簡単だ。 俺より倍以上も長く勤めてる上司が毎日、自分のデスクで手作り弁当を食べているからだ。昼飯すら贅沢出来ない出世に何の意味があるのか。俺は皮肉も込めて上司に「お昼どっか行かないんですか?」と聞くと上司は言った「妻の弁当以上に、贅沢なものは無いからな」
149
3K
42K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
俺の目の前で、おっちゃんがひったくりにあった。俺は急いで犯人を追いかけ鞄を取り返してやった。 後日 就活の面接に向かうと、あの時のおっちゃんがいた。志望会社の役員だった。 「君のような若者と私は働きたい」と言われ内定ゲット。その夜、俺はひったくり犯を演じてくれた友人と祝杯をあげた。
48
3K
42K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
父は寡黙で照れ屋だから、大事な言葉はいつもお酒の力を借りて言う。 でも、酔った勢いで褒められても、心がこもって無いみたいで、少し嫌だった。 私が志望校に合格した日、父からビール片手に「よく頑張ったな」と言われた時も同じ気分だった。その手に持っていたのが、ノンアルだと気付くまでは。
31
3K
42K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
小学校で、給食の時間、女子が転んでカレーを僕にブチまけた。 女子は泣きそうになってる。泣きたいのは僕の方だけど、我慢してこう言った。「ごめんね、僕のTシャツがカレー食べちゃった」 その日以来、僕のあだ名はスモーカー大佐になった。でも1つ気になる事があるんだ。スモーカー大佐って誰?
62
4K
41K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
シンエヴァに向けて、TV版エヴァを見返しているのですが、絶望的に手が届かないビールの位置に笑っています。
Tweet media one
61
8K
40K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
昔の事だから言うわ。 性欲ピークだった大学時代、講義サボってバイトして初風俗行ったんよ。んで、ピロートーク中、嬢はこう言ったんよ「私、大学行きたくてお金貯めてるんです」 俺は俺が��性に恥ずかしくなった。講義は卒業まで2度とサボらなかった。嬢のパネル写真は、いつの間にか無くなってた。
54
4K
38K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
弟は時速5kmで家を出ました。その30分後、弟の忘れ物に気付いた兄は時速15kmで追いかけました。兄が弟に追いつくと、弟は兄の彼女とキスしていました。兄は物陰で茫然と立ち尽くした後、弟の忘れ物をゴミ箱に捨て、時速1kmで家に帰りました。弟と兄の心の距離が縮まるには、何年かかるのでしょうか。
108
6K
35K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
3 years
俳優の夢を諦めた時、人生が一気に色褪せた。 どうやって死のうかと毎日考えてた俺に友人が言った。 「死ぬ前に、この��画読んどけ」 それが、尋常じゃないくらい面白い。あっという間に最新刊まで読んだが、まだ完結してないらしく、親友に聞いてみた。「なぁ、HUNTER×HUNTERの続き、いつ出るんだ?」
72
5K
34K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「PS5欲しいんだよなぁ」 友人のその一言が嬉しかったんだ。最近じゃ、身近な友人はゲームなんてやらなくなって、語り合える相手は俺の周りにすっかりいなくなっていたからだ。 「あー、まだ入手困難だね…。でも大丈夫!再入荷の情報入ったらすぐに知らせるよ♪」 「マジ?悪いな…息子が喜ぶよ」
37
3K
33K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
9 months
山中で罠にかかっている鹿がいたので、逃がしてやった。 次の日の夜。 戸を開けると、そこには三日月模様の和服を着た、美しい女性が立っていた。 「先日のお礼に参りました」 「お礼?まさかあの時の鹿…?」 「はい。空腹の限界だったところ、手負いの鹿を放ってくださり、助かりましたクマー」
67
3K
33K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
私には尊敬する作家さんがいる。彼の作品はどれも★2.0を切っており、レビューは酷評の嵐だ。なのに、彼は世間の評判を気にせず、息をするように作品を出し続けている。その尊敬すべき鋼の精神はどうやって培われたのか、本人にメールで聞いてみると、返信があった。『教えないで欲しかった……』
52
2K
32K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「お箸はおつけしますか?」 「はい」 店員はバーコードを読み取る。 「お箸はおつけしますか?」 「はい」 店員はレジ袋に商品を入れる。 「お箸はおつけしますか?」 「はい」 3度も聞いてくるなんて、相当お疲れらしい。労いの言葉をかけると、店員は嬉しそうに微笑んだ。お箸は入ってなかった。
65
4K
32K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
「ひっ…!」 私は恐怖した。 捨てたはずのフランス人形が、今日も玄関前に戻ってきていたからだ。 私は監視カメラを設置して真相を確かめる事にした。 もう1度捨てると、やっぱり人形は戻ってきた。 映像を確認すると、人形を戻していたのは夫だった。 私は恐怖した。 夫は、もっと前に捨てたのに。
52
3K
31K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
面接官やってると、就活生のSNSアカウントを裏で調査しておくなんて基本中の基本だ。いま俺の目の前にいる就活生は、SNS上でも真面目で、全く問題無かった。 「では最後に、何か質問はありますか?」 「面接官さんは先週からSNS上で女の子に猛アタックしてましたが、会えました?」 「…………いえ」
39
2K
29K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
「ママはどうしてパパと結婚したの?」 「私がレンタル屋でバイトしてた頃、パパは常連さんだったのよ。いつも借りたビデオは最初まで巻き戻してから返してくれた。それで、あぁ そういう気遣いが出来る人と結婚したいなぁ…って思ったの」 幸せそうに語るママに私は更に聞いた。 「巻き戻しって何?」
119
2K
29K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
久々にDMが来た。知らないアカウントからだ。 『ワシじゃよワシ。最近、SNSってのが流行ってるんじゃろ?ワシも始めてみたんでよろしゅうな』 ワシワシ詐欺かと思ったけど、お母さんに確認したら本当にお爺ちゃんだった。その歳で新しいモノに挑戦するお爺ちゃんを私は心底尊敬した。でもそれmixi。
18
2K
29K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
10 months
元SEの祖父は大層な助兵衛で、膨大なエロデータをPCに蓄えていた。 そんな祖父が亡くなった。 俺は遺品整理のついでに祖父のPCを漁った。さっそくそれっぽいファイルをクリックしてみる。次の瞬間、色んな処理が走り、全データは消え、1つのtextファイルが残された。 『宝は自分で掴め。達者でな』
81
3K
29K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
9 months
急に彼氏に「猫っぽいよね」って言われた。 「そう?」 「昔飼ってた猫がミャーって言うんだ。ミャーって呼んでいい?」 「……浮気してる?」 「は?なんで?」 「無理に渾名をつけるのは、浮気相手と統一して呼び間違いを防ぐためって聞いたから」 「そんなわけないだろう、美弥」 「私は萌香よ」
40
2K
28K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
11 months
「助手君、ついにタイムマシンが完成したぞ!」 「本当ですか博士!?」 「ただし注意点がある…これは5回しか使えないんじゃ」 「わかりました!」 僕はさっそく江戸⇒弥生⇒白亜紀を時間旅行した。そこでタイムマシンは起動しなくなった。 「あれ?」 ……あ 博士が〝完成〟を確認したってことは…
115
2K
27K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
9 months
彼氏と別れた理由? う~ん…なんて言うかさぁ…すっごい冷めちゃったんだよね。え、何があったのかって?LINEのスタンプあるじゃん、100円とか200円で買えるやつ。彼氏が使ってるスタンプ見て、なんか変だな…って思ったんだよ。よく見たらそれさぁ…人のスタンプのスクショだったんだよね。
58
1K
27K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
最近どういう訳か、20代後半の男女グループの宿泊客が増えている。どれも30人くらいの大所帯だった。旅館側が言うのもなんだけど、大人ならもっと、良い旅館に泊まれるだろうに。気になったので、どういう集まりなのか聞いてみた。 「昔、コロナで行けなかった修学旅行を今、取り戻してるんですよ」
70
3K
27K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
急に彼氏に「猫っぽいよね」って言われた。 「そう?」 「昔飼ってた猫がミャーって言うんだ。ミャーって呼んでいい?」 「……浮気してる?」 「は?なんで?」 「無理に渾名をつけるのは、浮気相手と統一して呼び間違いを防ぐためって聞いたから」 「そんなわけないだろう、美弥」 「私は萌香よ」
46
2K
26K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「ひっ…!」 私は恐怖した。 捨てたはずのフランス人形が、今日も玄関前に戻ってきていたからだ。 私は監視カメラを設置して真相を確かめる事にした。 もう1度捨てると、やっぱり人形は戻ってきた。 映像を確認すると、人形を戻していたのは夫だった。 私は恐怖した。 夫は、もっと前に捨てたのに。
43
3K
26K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「近くで殺人事件があったらしいよ」 「マジ?」 「しかも、まだ凶器の包丁は見つかってないんだ」 「……待て、なんで見つかってないのに、凶器が包丁って知ってるんだ?」 「…頼む、犯人を見つけてくれ」 そこで目が覚めた。TVでニュースが流れた。被害者の名前に、夢に出て来た友人の名があった。
36
2K
25K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
1番印象に残ってる就活生? 志望動機で「金」と言い切ったやつだな。奴は終始、金への執着と、その期待値が最も高い弊社へのビジョンを述べてやがった。「最後に何か質問はありますか?」と人事が聞くと役員の俺にこう質問しやがった。「あなたの年収はいくらですか?」ってな。今では奴が俺の上司だ。
23
2K
24K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
11 months
「お爺様、お婆様、ただいま戻りました」 「おぉ、桃太郎…!鬼は退治できたかい?」 「…お爺様。鬼がどのように産まれるか、ご存知ですか?」 「?」 「鬼ヶ島には、大きな大きな桃の木が1本、ございました」 「……」 「…���後の鬼を、退治致します」 そう言って、桃太郎は己の首に、刀を添えた。
60
2K
23K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「博士。進化したポケモンを、元に戻す事は出来ませんか?」 「残念じゃが、それは不可能じゃ。なぜそんな事を聞く?」 「…ヒトカゲからリザードンって、大分、大きくなりますよね」 「そうじゃな」 「ピカチュウを抱っこしていると、リザードンが時々、羨ましそうな目でこっちを見ているんです」
41
3K
23K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
不思議な本があった。 カバーは真っ白で、タイトルすら無かった。中身も、全ページが白紙だった。 「それは完璧な本です」 「完璧?」 「はい。あらゆる表現規制の声に忖度した、誰も傷つけない本です」 数年後、その本は発禁となった。 444というページ数が、死を連想させて不快だと言われたからだ。
77
4K
23K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
9 months
「実は…君に言わなきゃいけないことがあるんだ」 「どうしたの?」 「実は俺…整形してるんだ」 「そんなの、私は気にしない」 「結構、ガッツリ整形してるんだ」 「前の顔の写真、ある?」 「…あぁ。君を信じて、見せるよ」 それは、どこかで見たことのある顔だった。 後日、私は警察に通報した。
59
1K
23K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
アパートに帰ると、お隣の男子大学生が自室の前で体育座りしてた。 「鍵無くしたの?」 「いえ、終電逃した女友達を中に泊めてるので」 「それで君は外に?紳士過ぎない?」 「いえ、せめて床に寝せてって頼んだら『ダメ』って…」 「え、女の子に追い出されたの?」 「はい。そんな所に惚れたんです」
45
1K
22K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
11 months
「私はランプの精。さぁ願いを3つ叶えてやる」 「お願い!私の彼氏を生き返らせて」 「うむ」 後日 「残る願いは2つだ」 「私の彼氏を生き返らせて」 「また死んだのか?いいだろう」 後日 「最後の願いを言え」 「彼を生き返らせて」 「またか?」 「えぇ。あの男は、何度殺っても足りないから」
64
2K
22K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
俺のサークル同期の女子に、チョロ過ぎて心配な子がいる。 普段、大人しくて目立たないくせに、男慣れしてないせいか飲み会で周りから「可愛い」って言われただけで終電逃すし、聞かれたらすぐLINE ID教えちゃってる。 「もう少し危機感持ちなよ」 「じゃあ…俺君が守って?」 俺はLINE IDを交換した。
44
1K
21K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
6 months
「おいおい、なぜ俺のスープに髪の毛が入ってる?シェフを呼べ」 しかし、シェフは自分の髪だと認めず、俺の髪の毛だと宣う。上等だ。俺達はその髪の毛をDNA鑑定にかけた。その結果、シェフは、幼い頃に生き別れた実の兄であると判明した。 「弟…」 「兄さん…」 やっぱり、お前の髪の毛じゃねぇか。
36
2K
22K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
11 months
コンビニ強盗は銃を突き付けた。 「金を出せ」 「お客様、大変です!」 「あ?」 「銃にセーフティー(安全装置)がかかったままです」 強盗は鼻で笑う。 「そうやって隙を作ろうってか?クラシカル(古典的)だな…その手には乗らねぇよ」 強盗は勝ち誇り、続けた。 「モデルガンにそんなモン無ぇからな」
71
2K
21K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
宿題もせず遊ぶ息子に怒り、ゲームは鍵付きの箱に入れた。宿題を済ますまで鍵は開けない。それ以来、息子は必死に勉強した。そして見事にピッキングで鍵を開けられるようになった。思えば、それが奴の最初の〝盗み〟だった。 今や大泥棒となった奴を、俺は止めねばならない。 刑事として、父として。
28
3K
20K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
10 months
「息子よ…俺も、もう長くない」 「親父…」 「お前に、言わなきゃらなんことが…」 「なんだ?」 「いや…やめておく。代わりに、俺が逝ったらこの封筒を開けてくれ」 「遺書か?」 「辞世の句を記してある」 少しして、親父は他界した。 辞世の句にはこうあった。 隠し事 死ぬまで言えず 隠し子と
48
1K
20K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
5 months
「先輩」 「なんだ」 「ここ���処理、10行も使ってますけど、俺なら5行で書けます」 「覚えておけ新人。プログラムは、短けりゃいいってもんじゃねぇんだ」 「じゃあこのコメント行も必要ですか?」 「どれだ」 「この、延々とお経が書いてある部分です」 「それは絶対に消すな。なぜかサーバが落ちる」
151
3K
20K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
怖いことがあったんで聞いて。後輩がパワポ資料出来たって言うから、見てやったんだ。図形も使ってわかりやすく仕上がってたけど、四角形をわざわざ4本の直線組ませて作ってるのがNGだった。でもさ、それ、よく見ると直線じゃなかったんだよ。限界まで細くした、イラスト屋の、子供のイラストだった。
26
4K
19K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
1 year
「かーねーしょんください!」 男の子はヒマワリみたいな笑顔で俺にそう言った。両手の上には沢山の10円玉がある。 しかし、それでは1輪しか買えない。 だが、金額なんて些末だ。伝わるべきことがしっかりと伝われば、世の中はそれでいいのだ。だから俺はこう伝えた。 「坊主。ウチは八百屋なんだ」
34
2K
18K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「本当にいいんですか?この物件は、幽霊が出ると評判ですが…」 「いいんです」 俺は荷物の開封を終え、部屋の中を見て回った。柱にはペンで120cmと書かれてる。身長を測った跡だ。ふと、人の気配がして振り向いたけど、誰もいなかった。 母さん? ただいま 俺、今はもう178cmもあるんだよ
31
1K
17K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「HEY彼女!俺で妥協しなぁい?」 「気に入らない」 「…ですよね」 「違うよ。そうやってフザけて、断られても傷付かないよう予防線を張ってるのが気に入らないの」 「!?」 「失敗を恐れないで。ほら、もう1度真剣に言ってみて?」 「…お姉さん、俺とお茶してくれませんか?」 「僕、男です」
30
2K
17K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
9 months
天国にも酒場ってあるんだな。 フラリと立ち寄ってみると、常連っぽい中年が声をかけてきた。 「見ない顔だな。天国へようこそ」 「ども」 「生前は何やってたんだ?」 「しょぼいコソ泥さ」 「おいおい、それでよく天国に来れたな」 「駅に置いてあった鞄を盗んだんだが、中身が爆弾だったんだ」
40
2K
16K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
デートで終電が無くなった私は、彼氏の家に初めてお泊まりする事になった。 そしたら、まさかの実家。 まぁいいか。 と思ってあがると、居間に服を着たマネキンが2体座ってた。顔にはクレヨンで笑顔が描かれている。額にはそれぞれ、父・母とあった。立ち尽くす私の後ろで、チェーンを閉める音がした。
64
934
16K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
夏休みが終わるなり、僕とA君は職員室に呼び出された。 「お前ら読書感想文見せ合ったろ?」 そんな事はしてない。でも、僕達の感想文は何故か、一字一句一緒だった。 あぁ そうか。 僕達は同じ感想ブログを真似てしまったんだ。 でも、怒られたのは僕だけだった。 それは、A君のブログだったから。
16
864
16K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
11 months
「ねぇ、スマホの動きが遅いんだけど見てくれる?」 機械に疎い姉が、またなんか言ってきた。見てみると、重いアプリをいくつも同時に立ちあげてるし、ブラウザのタブもめちゃくちゃ開いてる。 「あぁ…明らかにメモリ不足だね」 「え?友達との写真や動画は一杯あるよ?」 「そのメモリーじゃくてね」
44
954
15K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 months
「おい新人。ユーザIDはユニークにしておけよ」 「ユ、ユニーク…?承知しました…」 1時間後 「おい新人!まだ終わんねぇのか!」 「先輩、これはどうでしょう?」 ユーザID: ___/|||||| 「…なに?これ」 「ユーザIDでドミノ倒しを表現してみました」 「ユニークってそういう意味じゃねぇよ」
17
856
14K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「あ~あ…やっちまった」 足元に缶珈琲をこぼしてしまった。ふと『珈琲は飲むよりこぼした方が目が覚める』というネタを思い出し、1人で笑った。また2人で笑える日は来るだろうか。病室のベッドで横になる妻に目を向ける。すると、妻はその目をゆっくりと開いた。2年ぶりに、妻は目を覚ましてくれた。
30
1K
13K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「俺達、親友だよな」 「どうした改まって」 「戦場に行く前に、お互いだけの秘密を共有しないか?」 「いいぜ」 「じゃあ俺からな。実は俺の姉、血が繋がってないんだけど、好きになっちまったんだ」 「マジなのか?」 「あぁ。次は、お前の秘密を教えてくれ」 「お前の姉ちゃんと付き合ってる」
55
946
13K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
奇妙な新連載がスタートした。 第1話目のはずなのに、第100話と表記されてるのだ。最初は印刷ミスかと思ったが、翌週は99話と記載されてた。なるほど、そうか。この物語は、過去に遡っていく話なのか。真の1話目には何が仕組まれているのかと、俺は毎週楽しみに読んだ。76話目で打ち切りになった。
34
996
13K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「お前、逆突き以外も使えよ」 空手部でそう言われ続けて2年。それでも俺は逆突きだけを磨き続けた。毎日1000回の逆突きを欠かした事は1度も無い。いつしか俺の逆突きは神速の域に達し、他校からも〝逆突きの池田〟と恐れられた。そして迎えた決勝戦、あり得ないほど美しく、俺の回し蹴りがキマった。
32
962
13K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「ヘイSiri 今日の天気は?」 「……」 「ヘイSiri 今日の天気は?」 「……」 「ヘイSiri?」 「はい、なんでしょう?」 「今日の天気は?」 「雨です」 時々ウチのSiriは調子が悪くなる。修理に出しても異常なし。なんでだろうなと思い返してみると、全て、彼女とデートした翌日の事だった。
40
748
12K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「私はランプの精。さぁ願いを3つ叶えてやる」 「お願い!私の彼氏を生き返らせて」 「うむ」 後日 「残る願いは2つだ」 「私の彼氏を生き返らせて」 「また死んだのか?いいだろう」 後日 「最後の願いを言え」 「彼を生き返らせて」 「またか?」 「えぇ。あの男は、何度殺っても足りないから」
22
1K
12K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
描いた絵を投稿していると、憧れの絵師さんがイイネをくれた。 私はそれが嬉しくて、沢山絵を描いた。 自分でも、昔より大分上手くなったと思う。フォロワーさんもかなり増えた。でも、憧れの絵師さんは、いつの間にか私にイイネをくれなくなっていた。 私はそれが嬉しくて、もっと沢山絵を描いた。
18
687
12K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
同窓会でAさんに会った。俺の初恋の人だ。友人が俺とAさんの前で軽口を叩く「そう言えばお前、Aの事好きだったよな」酒の席とは言え、本人の前でかつての恋心を暴露されるのは良い気分じゃない。Aさんも反応に困ってる風で、苦笑いを浮かべていた。 帰り際、Aさんは俺の耳元でこう囁いた。 「今は?」
63
786
12K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
11 months
Q1:小学生の頃どんな技を練習しましたか? という質問に、様々な解答が寄せられました。 波紋・かめはめ波・霊丸・二重の極み・螺旋丸・ギア2・月牙天衝・領域展開・水の呼吸… しかし Q2:それは習得できましたか? という質問に97%もの人がNOと答えました つまり、挫折は決して恥じでは無いのです
151
3K
11K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
「先生!いい加減〆切やばいです!最悪、ネームでいいので下さい!」 「はぁ…仕方ない…本気を出すか…」 先生はそう呟き、リストバンドを外して落とすと、床にめり込んだ。 「!?」 「30分、待ってな」 そう言って先生は部屋に籠った。 30分後、部屋に入ると、窓が開いてて先生の姿は無かった。
28
1K
11K
@HOJO_Kai
【140字小説】方丈 海@書籍発売中
2 years
『私は小さい頃、トランプタワーが大好きでした。高く積み上げたトランプが一気に崩壊していく様に、なんとも言えない快感を覚えたのです。もっとこの感覚を味わいたい。そのために、もっともっと高く…』 タワー専門建築家のインタビューが怖すぎて、高く積み上げられた彼の地位は、見事に炎上した。
32
650
11K