父が家を出て行ったのは、わたしが小学5年生の時。浮気性で、母と姉とわたしに暴力を振るい、短気な性格で仕事を転々とし、家にお金を入れない父だった。正式に離婚をしたのはわたしが高校2年の時だ。 母が寝ないで、昼も夜も工場で働き、家と生活を必死に���ってくれた。 こう書くと、なんてひどい父親なんだと思われるだろう。 殴られたし蹴られし、引きずり回された。わたしたち家族はいつも父の顔色を窺っていた。だ...

以前職場が同じだった60代の女性は、韓国アイドルの推し活をしている方だった。自分で推しのTシャツをやブレスレットなどを作り、かばんも推しであふれていて、服は推しカラ��で華々しかった。 「若い子にパワーをもらっているの」と言っているだけあって、とても60代には見えない可愛らしいおばさまだったのを覚えている。 わたしには推しがいない。 強いて言うならばウイスキーの「アードベック」がそうだろうか。...

美術館や音楽祭巡りでもしてみようかと、駅構内にあるパンフレットを片っ端から手に取ってみた。その中に「ミニ手話講座」の案内があったのだ。 高校生のときに部活動の一環で手話を習っていた。懐かしさと楽しかった気持ちを思い出した。 普段自分が使っている言語以外のコミュニケーションを学べるのはいつだって楽しい。 167日間続いている英語学習もそうだし、北海道の地名に数多くあるアイヌ語を知ることもそうだ。...

生きているだけで、消耗していく。 わたしのエネルギーがっ！ 音も光も空気も人も、HSP気質のわたしにとってはその全部が「刺激」だ。 その目に見えない刺激が今日もわたしのエネルギーを削る。 音がうるさい。光がまぶしい。空気が重い。頭が痛い。イライラする。なんか喉のあたりに泣きたい気持ちが停滞している気がする。 冷蔵庫の音が気になる。家電から出るジーという音が不快。 なにもする気にならない。とに...

タロさんと暮らすようになって、わたしの生活はまぁまぁ変わった。 一番大きな変化は、家の中にテレビがあること。 それも50型のまぁまぁ大きいやつだ。 ひとり暮らしのときはテレビを持っていなかった。 単純に、テレビを見ないからだ。 NetflixはiPadやノートパソコンで観ていた。 ひとりで観るので、画面が少々小さくても気にはならなかった。 ＊ だが、二人暮らしをはじめたときに、ふたりで映画を...